交通事故の賠償におけるMRI画像の有効性・重要性とは?

交通事故に遭って治療をする際、医師の指示により、被害者はレントゲンやCT、MRIなど、様々な検査をすることになります。

以下では、特にMRI画像が交通事故の損害賠償にどれだけ有効性があるのかをご説明いたします。

この記事の監修者

弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所 所長弁護士
千葉県弁護士会所属
明治大学法科大学院卒業

【獲得した画期的判決】
・2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載(交通事故事件)
・2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載
【交通事故解決件数】
1000件以上(2023年2月時点)

目次

損害の立証は被害者側でするのが基本

交通事故で生じた損害が、どれくらい大きいものなのか、いくらの損害が生じたのか、これらは基本的に被害者側が立証しなければなりません。

現在の交通事故の賠償実務では、これらの立証がなければ基本的に損害は「ないもの」として扱われてしまいます。

そのため、被害者が自覚している症状(痛みや可動域制限など)を損害として加害者あるいは保険会社に知ってもらうためには、立証資料の存在が不可欠となります。

 痛みは目に見えない

痛みは、目に見えません。

切り傷、擦り傷、腕や足の切断等、パッと見でわかる痛みや機能障害なら理解されやすいですが、そうではないケガは、痛みを他人に(しかも賠償金を払う側の保険会社に)理解させることは難しくなります。

そのため、いかに症状を可視化できるかが賠償においては重要になってきます。

MRI検査って?どのようなことがわかる?

MRI(Magnetic Resonance Imaging)は磁気共鳴画像のことをいい、強い磁石と電波を使って体内の状態を画像として描写する検査です。

レントゲンなどと異なり、放射線による被ばくはなく造影剤も不要です。体内の断面をあらゆる方向(縦、横、斜め)から明らかにすることができます。

これにより、レントゲンやCTではわからない体の異常がわかります。

検査時間は20分~1時間で、医的侵襲を伴わない安全な検査であり、多くの整形外科で設置されています。

MRIには精度の高いものと低いものがある

MRIには精度の高いものと低いものがあります。最近のMRI装置で高い精度のものといわれるのは3テスラのものです。1.5テスラのMRIもありますが、3テスラのMRIに比べて、画像が荒く、細かい部分を撮影できません。

そのため、MRI撮影をして体の異常を可視化するのであれば、3テスラのMRIで撮影することが重要でしょう。

MRI画像が有効となる主なケガ

MRIの存在が決め手になる主な傷病例を以下にあげます。ここにあげた傷病以外でも、MRIの画像が賠償上有用になるケースが多くあるため、MRI撮影をした方がいいかどうか悩まれている方は、弁護士にご相談ください。

・むちうちの頚部痛、腰部痛、しびれ

むちうちによって頚部痛や腰部痛を発症した場合、ありうる後遺障害等級としては、神経症状としての14級9号か、同じく神経症状としての12級13号が考えられます。

特に、12級13号の後遺障害等級を得るためには「他覚的所見」の存在が必要になります。

 外傷性の椎間板ヘルニア等がその典型ですが、外傷によってヘルニアになったか否かは、レントゲンやCTでははっきりわかりません。

この時、MRI画像が生きてきます。

MRI画像により、椎間板の水分含有量や神経根への圧迫状況が明らかになり、新鮮な外傷性のヘルニアであるとの判断ができるのです。

もちろん、画像だけで12級13号の認定がとれるわけではないのですが(神経学的所見、実際の症状との整合性、事故態様の大きさ等が重要になってきます)、MRI画像により外傷性の椎間板ヘルニアと診断されると、適切な後遺障害等級を獲得できる可能性が高まります。

なお、仮に外傷性の椎間板ヘルニアと判断できなくても、何らかの変性所見(経年性のヘルニア、脊柱管狭窄等)があれば、14級獲得の可能性も高まるといえます。

そのため、むちうちで治療をしている場合には、早めにMRI画像を撮影すべきでしょう。

・肩関節の腱板損傷、膝関節の半月板損傷等の関節の傷害

肩関節の神経症状(12級13号)、可動域制限(10級、12級)の後遺障害等級を獲得するためには、MRIが有効になります。腱板損傷における腱板は、レントゲンでは写りません。しかし、MRIによれば、肩関節の中で水が溜まっているところが白く写り、腱板の損傷状況が明らかになります。

同様に、膝関節の半月板損傷、前十字靭帯損傷といったケガでも、MRI画像は有用です。半月板や靭帯はレントゲンでは写りません。

このように、事故によって関節の痛みが強い場合、力が入りにくい、動かしにくいなどの場合には、MRI画像の撮影を強くおすすめいたします。医師は、臨床所見のみで上記のような傷病名をつけることもありますが、実際に後遺障害の認定を得るためには、画像による客観的な証拠が必要になります。なお、MRI撮影の結果、腱板損傷や半月板損傷が明らかになり傷病名が変わるため、慰謝料が増額する例も多くあります。

・脊髄損傷

外傷性の脊髄損傷の場合、損傷の程度や損傷高位を確認するためにMRI画像が重要となります。

MRI撮影をすることで、髄内の高輝度変化が明らかになり、外傷性の脊髄損傷の重要な立証資料となります。

なお、MRIで髄内の高輝度変化が明らかになるのは受傷直後(受傷後24時間から3か月程度)なので、事故後、早期に撮影することが望ましいです。

・高次脳機能障害

脳損傷の場合、事故当初は急性期における出血を確認するためにCT撮影をすることが多く、MRIの撮影は後回しになりがちです。しかし、本来であれば、事故後早期にMRI撮影をするべきです。

なぜなら、微細な脳損傷は時間の経過により消失する例があり、慢性期になってからMRIの撮影をしても脳損傷が明らかにならないケースが多くあるためです。外傷性の脳損傷を起因として高次脳機能障害となった場合には、受傷当初のMRI画像が、後遺障害の該当性、等級を決めると言っても過言ではありません。

以上のように、あらゆる傷病名において、MRI画像の存在が重要になってきます。

MRIは、医師が撮影の必要性を否定していても、賠償上は有効な例が多く、患者から医師に撮影を求めるべき場合も多くあります。

交通事故の被害に遭った方で賠償上有効な検査が何か気になった方は、早期に弁護士に相談してください。医学知識が必要となりますので、できるだけ交通事故に精通している弁護士に相談することが有効でしょう

千葉県で3テスラのMRI画像を撮影できる医療機関

以下では、3テスラのMRI装置がある千葉県内の病院を紹介いたします(2020年7月時点)。

・市川市

本八幡セントラル放射線科クリニック

千葉県市川市八幡3-3-3

ターミナルシティ本八幡 アイビス地下1階

TEL 047-323-8686

・鎌ヶ谷市

医療法人沖縄徳洲会 鎌ヶ谷総合病院

〒273-0121

千葉県鎌ケ谷市初富929-6

TEL 047-498-8111

・千葉市

医療法人社団 誠馨会 千葉メディカルセンター

〒260-0842

千葉県千葉市中央区南町1丁目7番1号

TEL 043-261-5111

千葉大学医学部附属病院

〒260-8677

千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1

TEL 043-222-7171

・習志野市

千葉県済生会習志野病院

〒275-8580

習志野市泉町1-1-1

TEL 047-473-1281

・市原市

帝京大学ちば総合医療センター

〒299-0111

千葉県市原市姉崎3426-3

TEL 0436-62-1211

・八千代市

東京女子医科大学八千代医療センター

〒276-8524

千葉県八千代市大和田新田477-96

TEL 047-450-6000

・船橋市

船橋夏見の杜クリニック

〒273-0865
千葉県船橋市夏見1丁目5-20

TEL 047-409-5101

・浦安市

順天堂大学医学部附属浦安病院

〒279-0021 千葉県浦安市富岡2丁目1番1号

TEL 047-353-3111

・佐倉市

東邦大学医療センター佐倉病院

〒285-8741 千葉県佐倉市下志津564-1

TEL 043-462-8811

・流山市

東葛病院

〒270-0153

千葉県流山市中102-1

TEL 04-7159-1011

・柏市

公益財団法人柏市医療公社 柏市立柏病院

 〒277-0825 千葉県柏市布施1-3

TEL 04-7134-2000

・成田市

国際医療福祉大学成田病院

〒286-8520
千葉県成田市畑ケ田852

TEL 0476-35-5

閉所恐怖症でも大丈夫!千葉県でオープン型のMRI画像を撮影できる医療機関

MRI検査は、狭い筒状の部屋に身体を入れて検査するため、閉所恐怖症の方の場合は検査が困難という方もいます。

しかし、最近ではオープン型のMRIも開発されており、導入を開始している病院もあります。以下では千葉県内のオープン型MRI設備を有する病院を紹介いたします(2020年7月時点)。

・千葉市

稲毛整形外科

〒263-0031

千葉市稲毛区稲毛東3丁目9−4

TEL 043-302-7005

花見川ひかり整形外科

〒262-0043 
千葉市花見川区天戸町1334-4
TEL 043-215-1600

・市川市

若葉クリニック

〒272-0835

千葉県市川市南八幡4-10-16

TEL 047−314−0900

・市原市

医療法人社団 慈協会 市原メディカルキュア

〒299-0111

千葉県市原市姉崎658

TEL 0436-61-0519

・柏市

柏新宿整形外科内科

〒277-0074

千葉県柏市今谷上町45-2

TEL 04-7174-9699

・佐倉市

西川整形外科

〒285-0817

千葉県佐倉市大崎台1-14-2

TEL  043-485-3600

・館山市

たてやま整形外科クリニック

〒294-0043

千葉県館山市安布里229

TEL 0470-25-1114

・富里市

湯山整形外科

〒286-0221

千葉県富里市七栄674-19

TEL 0476-91-2412

・野田市

医療法人社団真療会野田病院

〒270-0237

千葉県野田市中里1554番地1

​TEL 04-7127-3200

山武郡

医療法人社団慈優会 九十九里病院

〒283-0104

千葉県山武郡九十九里町片貝2700 

TEL 0475-76-8282

弁護士法人サリュ千葉事務所のサービス地域

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この記事の監修者

弁護士 山田洋斗
弁護士法人サリュ千葉事務所所長弁護士。2015年から2020年まで交通事故発生件数全国最多の愛知県において多くの交通事故案件を扱い、これまで1000件以上(2023年2月時点)の交通事故案件を解決に導いてきた。2020年6月から地元の千葉県において千葉事務所所長弁護士に就任。日々、千葉県で交通事故被害に悩んでいる被害者の救済に尽力している。

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